がんになった妻は、記者である僕に料理を教え始めました。自宅での穏やかな日々はつかの間、再び痛みが襲います。入院が決まった妻は、二人の夕食を作ろうと、無理をしてスーパーへ向かいます。妻がブログに公開したイラストとともに紹介します。

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僕のコーチはがんの妻 第13話(全16回)

 結婚して間もないころから、妻を名前の「玲子」とは呼んでいない。我が家の独裁者だからロシアの権力者にあやかって「レーチン」と呼び、そのうち「チン」になった。

 チンがいる家は朝からにぎやかだ。

 僕が目を覚ますと、ゴロンゴロンと転がってきて体当たりを食らわす。「動物みたいやな」と言うと「動物にしてはがんばってるやろ? ごはんもつくるし、チューもするし、掃除もするし」。一日中会話が途切れることがない。

拡大する写真・図版毎年奥出雲でそば打ちを習ってきたが、自宅で打つと、うどんのように太く、短く切れてしまう。うどんみたいなそばだから「そどん」と呼んでいた=妻のブログ「週刊レイザル新聞」から

 2018年7月17日、エスニック風ミンチかけレタスとカボチャのサラダの夕食を食べ終えると、「このへんが痛いねん」と妻は右胸の肋骨(ろっこつ)の下を指さす。2、3日前から痛みが出てきたという。5月の退院後、初めて鎮痛剤を服用した。

 2日後には頭痛も訴えた。「またあの痛みが急に来て入院かなあ。いややぁ。やっぱり看護師さんに勧められた緩和ケアとか行こうかなあ」。通院のたびに「緩和医療」の準備を勧められていたが「まだ生きるつもりなのに」と妻は断り続けていたのだ。

 血液検査では、肝臓や骨のがん…

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