球場で当て逃げ目撃 犯人特定へ球児3人が連係プレー

球場で車の当て逃げを目撃した野球部員の素早い行動が、加害者の特定につながったとして、日本高校野球連盟(八田英二会長)が山形県立鶴岡工業高校野球部を表彰し、県高野連を通じて25日、賞状と記念品が贈られた。部員たちは「野球だけでなく、日常生活からきちんとするように心がけている。来春に入る後輩たちにも知ってもらい、部を盛り上げたい」と話している。
事故を目撃したのは、高橋優人君、大川遼君、小野寺瑞樹君の1年生部員3人。今年夏の全国高校野球選手権山形大会が開かれていた7月13日、補助員として新庄市民球場で駐車場整理をしていた。
止まっていた車に別の車がぶつかった現場のそばにいたという。車はそのまま走り去ろうとしていた。「ナンバー見ろ」。とっさに声を掛け合い、別の高校の補助員からトランシーバーを借り、担当教員に連絡。駆けつけた警察官に車の特徴も伝え、加害者が判明した。県高野連は、部員の一連の行動を日本高野連に報告し、「善行表彰」に決まった。
3人はこの日、校長室で県高野連の大沼敏美会長から表彰状を受け取った。大沼会長は「グラウンドでのプレーだけでなく、与えられた役割をしっかり果たしてくれた。誇りに思う」と部員たちをたたえた。
投手や捕手として甲子園を目指しているという部員たち。見事な連係プレーが認められ、「事故は起こらないのが一番。また同じようなことがあってもきちんと対処したい」と話した。
鶴岡工は、来春の選抜高校野球大会について、県高野連から21世紀枠の候補校に推薦されている。今回の「善行表彰」に加え、体育館工事でグラウンドが思うように使えない中で、今秋の県大会で12年ぶりの8強進出などが評価された。(佐藤孝則)
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