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 近頃、日本にはやるものといえば、遅まきながらの「撤退劇」。大学入学共通テストへの英語民間試験導入は延期、東京五輪マラソンは札幌へ。なぜ上手に撤退を決められないのか。

「英断」の空気に違和感 ライター・武田砂鉄さん

 今回の二つの「撤退劇」はともに遅きに失した、と批判されるべき事柄です。なのに、いまの日本社会には、まるで英断であるかのように評価する声も聞こえてくる。

 私はこの奇妙な「空気」に違和感を覚えます。この一因は、戦後最長になった安倍政権の姿勢に慣れてしまったからだと思います。

 英語の民間試験は萩生田光一文部科学相の「身の丈」発言が批判を浴びたため、政府は延期を決めました。しかし、直前までは「導入ありき」が見え見えでした。

 萩生田大臣だけでなく、歴代の文科相や文科省の事務方は当事者の意見に少しも耳を傾けてこなかった。受験生がID登録を始める当日に延期を発表するという配慮のなさに全てが表れています。

 入試に人生をかけている受験生やその家族にとっては最悪のタイミングでした。文科省は「問題があれば、何年かかけて調整すればいい」ぐらいの認識だったのではないでしょうか。7年にも及ぶ政権運営の下で、霞が関の官僚に、過度な「忖度(そんたく)」が目立ち、堂々と国民に背を向けるようになったことも、おかしな「空気」を生んでいます。

 五輪マラソンの開催場所の札幌への変更も「暑さを避けるためには仕方ない」とする生温かい見方が多い。しかし、よく考えてください。そもそもの問題点は、真夏の東京での五輪開催を決めたことにあったはずです。

メディアに広がる「批判疲れ」

 この問いに答えを出さないまま招致した浅慮が、浮き彫りになっただけなのです。

 五輪招致を巡っては、首相による原発事故の汚染水に関する「アンダーコントロール」発言や竹田恒和前JOC会長の疑惑など様々な問題点が指摘されましたが、反対の立場の意見は十分に伝えられていません。朝日新聞を含む大手新聞社が五輪のオフィシャルパートナーになっていることが関係しているのでは、とつい勘ぐってしまいます。

なぜギリギリまで引けないのか、なのにどうして一瞬で方向転換できるのか、後半では埼玉大の一ノ瀬俊也さんが日本型組織の特徴を読み解きます。

 五輪には成功か、失敗かの明確…

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