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 働いて一定の収入がある高齢者の厚生年金を減らす「在職老齢年金制度」について、与党と厚生労働省は65歳以上の減額基準を「月収47万円超」のまま据え置き、60~64歳は「28万円超」から「47万円超」へ引き上げる方向で最終調整に入った。厚労省は対象者を減らすため一律51万円超とする方向で調整していたが、高所得者優遇との批判を免れないと判断した。

 在職老齢年金制度は、給与と年金の合計額が60~64歳は月28万円超、65歳以上は月47万円超の場合、超えた分の半額を厚生年金から差し引くなどする仕組み。安倍政権は、少子高齢化で人手不足が課題となる中で「高齢者の就労意欲を損ねている」として、見直す方針を示している。

 厚労省は当初、減額基準を一律で62万円超へ上げる案を検討したが、高所得層への年金支給を増やして将来世代の年金水準が下がることに与野党から批判が出て、51万円超に修正。減額対象から外れるのは中間所得層と説明したが、それでも公明党の理解は得られず、自民党も60~64歳だけ47万円超に上げる方向に傾いた。この見直しで、60~64歳の減額対象は約67万人(在職受給権者の約55%)から約21万人(同約17%)に減り、年金の支給総額は年約3千億円増える。

 内閣府の調査では、在職老齢年金制度で就労を抑える傾向がみられたのは60~64歳だけで、65歳以上の就労抑制につながっている根拠がなかったことも影響した。ただ、厚生年金の受給開始年齢の段階的な引き上げに伴い、男性は2025年度、女性は30年度から60~64歳の対象者がいなくなるため、就労促進の効果は限られそうだ。(山本恭介)