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 人生の最終段階でどんな治療やケアを受けたいかを繰り返し家族や医師らと話し合っておく取り組みの普及啓発のために厚生労働省が作ったポスターに批判が多く寄せられている。厚労省は26日に予定していた自治体への発送をやめ、ホームページへのPR動画の掲載も見合わせた。

 この取り組みはアドバンス・ケア・プランニング(ACP)と呼ばれ、厚労省が昨年、愛称を「人生会議」に決めた。ポスターでは、愛称の選定委員を務めたお笑い芸人の小籔千豊(かずとよ)さんが、苦しそうな表情で自分の思いが正しく伝わっていなかった患者を演じている。「命の危機が迫った時、想(おも)いは正しく伝わらない。」と、もしもの時のために事前の話し合いを呼びかけている。

 ポスターが公表された25日から、SNSなどで「ふさわしくない」「不安をあおる」などの投稿が相次いだ。

 全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長はフェイスブックに「これでは人生会議というよりは、死に方会議のポスターです。自分は死ぬとは思ってない人が考えたポスターではないでしょうか」と書き込んだ。天野さんは取材に、「ACPは必要だが、その内容を誤解させかねないし、脅しとも取れる内容で啓発として有効か疑問だ。関心がない人たちに『刺さる』ことを優先し過ぎて、当事者への配慮を欠いている」と話す。

 スキルス胃がんの患者や家族を支援する認定NPO法人希望の会の轟(とどろき)浩美理事長はツイッターで「これはACPへの誤解、そして遺族を傷つける可能性もある。家族に対し失礼でもある」とつぶやいた。厚労省に「不安をあおるもの」だとしてポスターの内容を見直すよう求める意見書も送った。

 一方、「賛否ありそうだが、ACPや緩和ケアの正しい知識が広く伝わってくれれば」と前向きな投稿もあった。ポスターは約1万4千部作製。厚労省は今後、患者団体など関係者の意見を聴いた上で、ポスターと動画の取り扱いを決めるという。(姫野直行)