拡大する写真・図版 「ゾロリで本が好きになったという子をいっぱい育ててきた。自分が子どものころ読みたかった本を書いてきたんです」=東京都千代田区、篠塚ようこ撮影

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「かいけつゾロリ」作者・原ゆたかさん

 小学生に人気絶大の児童書「かいけつゾロリ」シリーズ。ゾロリとイシシ、ノシシの3人組の生みの親である原ゆたかさん(66)は若き日に、やなせたかしさんからある言葉をかけられた。駆け出しだった当時はさほど深く受け止めず、記憶の底にずっと沈殿していた。今回、取材を受けて浮かび上がってきたその言葉。実績を積んだ今になってみて、やなせさんが言いたかったことに近づけた気がしている、という。

黒柳さんや山藤さんにも

 1987年の第1作以来、累計発行部数は3500万部。12月12日刊行予定の最新作『かいけつゾロリ スターたんじょう』で、原さんの年齢と同じ66作目を数える。

 そんな人気作家にも、もちろん下積み時代があった。

 20代前半。愛知県のガソリンスタンドで1カ月間アルバイトをしては、次の1カ月は絵を描きためる。そうして描いた絵を抱えて上京し、飛び込みで出版社を回る日々。

 画家や漫画家、イラストレーターらにも機会を見つけては絵を見てもらった。美術関係者だけではない。雑誌のイベントで見かけた黒柳徹子さんに、「絵本が好きかと思いまして」と絵を見せたことも。すると、近くに山藤章二さんがいたのを見つけた黒柳さんが、「山藤さんに見てもらいなさいよ」。絵を渡すと、「色がきれいだね」と褒められたという。

 この話には後日談がある。後に初めての絵本を出したとき、山藤さんのサイン会に行って「やっと本が出ました」と渡そうとしたら、「お互いプロなんで、作品の見せ合いはやめましょう」と受け取ってもらえなかった。「あ、はいって持って帰ったんですけど、プロと認められてうれしかった」

絵を見たやなせさん「これじゃ…」

 とにかく必死だった。そんなある日、絵本を描いている漫画家たちの展覧会で、やなせさんに会う。「ぼく絵本作家になりたいんですけど、絵を見てください」。後日、やなせさんが編集長を務めていた雑誌「詩とメルヘン」の編集部に絵を持参すると、読者投稿の詩に挿絵をつける仕事をもらえた。

 後のゾロリとはまったく違う、色鉛筆で描いたようなふんわりした画調。とにかく「詩とメルヘン」で仕事がしたくて、雑誌のカラーに合わせて描いた。

 それを納めたときに言われた。…

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