【動画】遺族側代理人の記者会見で、労災が認定された男性の妻のコメントが読み上げられた=榊原謙撮影
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 クレーン車の販売会社で営業の仕事をしていた男性(当時26)が死亡したのは長時間労働などが原因だったとして、神奈川労働者災害補償保険審査官が労災と認定した。26日付。鶴見労働基準監督署(横浜市鶴見区)は業務のための運転や宿泊先で作業していた時間を労働時間と見なさず、労災と認めなかったが、審査官はその判断を覆した。

 遺族側代理人の川人博弁護士らが29日、記者会見して明らかにした。

 男性は外資系クレーン車販売会社リープヘル・ジャパン(横浜市鶴見区)の社員。東海、中部、北陸など12県に頻繁に出張していたが、2016年5月に出張先の三重県のビジネスホテルで急性循環不全を起こして亡くなった。

 遺族側は長時間労働などによる過労死として労災申請をしたが、鶴見労基署は今年2月、労災を認めないと決定。このため遺族側が労働者災害補償保険審査官に審査を求めていた。

 出張先で社有車を運転したり、宿泊先でパソコンを使って作業したりした時間を労基署は労働時間と認めなかったのに対し、審査官はこれらを労働時間に算入。死亡2カ月前の時間外労働は月94時間54分に達するとして、月52時間としていた労基署よりも長く認定した。

 審査官はそのうえで、宿泊出張は「疲労が蓄積する可能性が高い」とし、高速道路を含む長時間の運転も「精神的・肉体的負荷が相応に大きい」として、業務上の負荷は大きかったと判断し、労災を認めた。

 川人氏は「労基署が労働時間を過少に認定する事例が近年増えており、そうした流れに歯止めをかける意義のある決定だ」と話した。男性の妻は「(労基署からは)しゃくし定規でとても冷たい対応をされた。本当は労働時間なのに、労働時間ではなくなるのかと大変ショックを受けた」とするコメントを発表した。(榊原謙)