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コラム南風

 沖縄の人に大きな衝撃を与えた首里城(那覇市)火災。発生から2日後の11月2日の夕、首里城公園の入り口そばにある「守礼門」で一人の男性に出会った。焼けた首里城を見に来ていた。

 首里城のそばでビル管理業を営む宮城礼門(れいもん)さん(39)。宮城家は先祖代々、首里に住む。首里城が破壊された沖縄戦の前は酒蔵だった。

 名の「礼門」は、祖父が守礼門にちなんでつけたのだという。まだ子どもだった1992年に正殿が復元。首里城一帯は遊び場だった。

 大人になると、城を見ながらバーベキューもした。「いつも目の前にある『家』に近い存在だった」。日常の中にある光景だからこそ、写真は1枚も撮ったことがなかった。特別な場所と思ってはいなかった。

 10月31日未明。宮城さんはサイレンの音で目が覚めた。午前2時50分ごろから、火が回り、目の前で正殿などが次々と崩れ落ちる様子をじっと見つめた。風で火の熱さを感じるほどの近さだ。正殿全体が火に包まれたときには、金色に輝いているようにさえ見えた。

 失って初めて「当たり前にある…

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