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 吉野彰・旭化成名誉フェロー(71)と同時にノーベル化学賞を受ける米テキサス大のジョン・グッドイナフ教授(97)は、史上最高齢の受賞者になる。今も現役の教授で、仕事をともにした日本人研究者は「アイデアの泉」と評する。授賞式のため訪れたストックホルムでは車いすで移動し、一部の恒例行事には欠席しているが、滞在先のホテルでは大きな笑い声をあげる姿も見られた。

 第2次大戦中、米イエール大で数学の学士をとり、その後、米シカゴ大で物理を修めた。英オックスフォード大教授だった1970年代後半、リチウムイオン電池の正極として「コバルト酸リチウム」が優れた材料になることを発見した。

 当時、グッドイナフ氏のもとでこの正極の研究をした東芝の水島公一エグゼクティブフェロー(78)は「面白そうと思ったら、夢中で向かってくる。いいんだか悪いんだか、気に入られていた」と振り返る。頻繁に部屋にきては「どうなってる」と尋ねられた。「研究のマネジャーとしてめちゃくちゃ優秀だった。『思い切りやれ』と自由にさせてもらった。本当に感謝しています」。よく笑う人で、笑い声で離れていてもすぐに居場所が分かったという。

 東京大の山田淳夫教授(53)はソニーにいた96年ごろ、社内の留学制度で米テキサス大に渡り、電池の性能を高めるための材料の研究をともにした。

 「アイデアの泉みたいな人でいろんなことを言う。ほとんどが間違っているが、たまにすごく光ったものを出してきた」。当時、すでに70代半ばだったが「いつも熱くて、研究が楽しくてしょうがない、研究そのものが人生のようだった。下にいる研究者に、『この人のためなら』と思わせる人だった」と話す。(ストックホルム=今直也)