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医の手帳・小児がん(2)

 小児がんで最も多いのは白血病です。人の血液は、骨の内側にある骨髄で休むことなく作られています。未熟な段階の白血球が腫瘍(しゅよう)化したものが白血病です。

 小児の白血病は急性型が95%で慢性白血病はまれです。急性型の中では、リンパ性が75%、骨髄性が25%を占めます。初発症状は発熱(約7割)、血が止まりにくい(約5割)、骨痛(約2割)などが知られています。

 小児期の急性リンパ性白血病の治療は抗がん剤投与が中心です。最初の約1カ月はステロイドなどの薬剤により、顕微鏡で白血病細胞が見つからない状態(完全寛解)を目指します。この期間は正常な白血球がとても少なく、いかに感染症を予防するかが重要です。点滴投与された抗がん剤は脳脊髄(せきずい)液には届かないので、背骨のすき間に針を通して少量の抗がん剤を注入する治療を繰り返すことが必須です。完全寛解に至ったら、引き続き多種類の薬剤を併用しつつ、2年間の多剤併用抗がん剤治療を続けます。

 日本では5年後に生存している確率が90%を超えていますので、「治りにくい」性質を正確に判定して、適切な強さの治療を行うことが大切です。年齢、白血球数、染色体・遺伝子異常、微小残存病変検査が性質を判断するのに使われます。初発でも高危険群と判断された場合や、再発例には骨髄移植や臍帯血(さいたいけつ)移植が行われます。2018年にブリナツモマブと呼ばれる免疫療法薬が登場し、さらに19年にCAR―T細胞療法が認可され、難治例や再発例に対する選択肢は広がっています。

 思春期から若年成人の急性リンパ性白血病には「小児型治療」を行うことが国内のガイドラインで勧められており、高校生までは小児がんの専門医が担当するように徐々に変わってきています。世界では小児から成人までを統一プロトコルで治療する試みがあり、日本でもまもなく始まる予定です。(新潟大学医歯学総合病院 今井千速准教授<小児科>)