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医の手帳・甲状腺の病気(1)

 甲状腺は、首の前面の付け根あたりにあるチョウの形をした4センチくらいの小さな臓器で、コンブなどに含まれるヨウ素を材料にして甲状腺ホルモンを作ります。このホルモンは全身の代謝を活発にし、元気に生活するのに必須のものですが、分泌が多すぎる異常が「甲状腺機能亢進(こうしん)症」で、その代表格が「バセドウ病」です。若い女性に比較的多く、甲状腺を刺激する抗体ができるのが原因ですが、理由はわかっていません。

 症状として、代謝が活発になり過ぎて汗をかきやすくなり、脈も速くなり動悸(どうき)や手のふるえを自覚します。食欲が増し多く食べる一方、体重が減ったり疲れやすくなったりします。甲状腺が腫れたり、目が出っ張ったりする人もいます。こうした症状に気づいた場合、血液検査などで診断できます。治療は、内服薬、放射性ヨウ素、手術の三つの方法がありますが、日本では普通、まず内服治療をします。通常1~2カ月でホルモン値を正常化できることが多いですが、再発を防ぐために1年以上は内服を継続します。再発を繰り返す場合や副作用で薬が使えない場合は、他2種類のうちいずれかの治療を行います。放射性ヨウ素治療は、放射線を出すヨウ素を内服すると甲状腺に集まる性質を生かして、甲状腺を放射線によって抑えてしまう治療です。手術は、甲状腺を切除することによりホルモン分泌を下げる治療です。

 他に甲状腺機能亢進症を起こす病気として「亜急性甲状腺炎」があります。これはバセドウ病と同様の症状に加え、甲状腺に痛みを感じるのが特徴的で、抗甲状腺薬でなく消炎鎮痛薬やステロイド薬で治療します。

 甲状腺機能亢進症の症状は特徴的なので、病気の知識を持っていれば、疑わしいと思った時に早めに受診でき、症状が軽いうちに治療が開始できます。またバセドウ病は遺伝しやすいので、そのことも早期診断の参考になります。(新潟大学大学院医歯学総合研究科 曽根博仁教授(血液・内分泌・代謝内科学))