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 東京五輪・パラリンピックに挑むトップアスリートたちが、ふとした瞬間に見せる苦悩や本音。つぶさに見てきた記者だからこそ触れられる、一押し選手のとっておきのエピソードを紹介します。

     ◇

 話は2018年6月にさかのぼる。世界ランク18位だった大坂なおみは、英ノッティンガムでの大会に出場した。日本人記者は私だけ。記者室で、会場での選手へのインタビュー担当の英国の元選手、アナベル・クロフトさんに聞かれた。

 「ナオミは本当に日本語より英語が得意なの?」

 衝撃の全米オープン優勝を成し遂げる3カ月前だった。根が照れ屋のせいか、会場インタビューの受け答えはたどたどしすぎた。

 全米に続き、大坂は19年1月の全豪で4大大会連覇を成し遂げ、世界1位になった。2月のドバイの大会の記者室で、クロフトさんが少し興奮気味に私に寄ってきた。

 「ナオミ、驚くぐらい変わった。受け答えがしっかりして、さすが世界1位」。よどみなく話す姿に、成長を感じたのだろう。

 しかし、今振り返ると、その時点で大坂の心理状態は限界に近かった。

 大会の直前、全米、全豪を一緒に制したコーチ、サーシャ・バイン氏との契約を唐突に解消した。さらに、世界1位の人気者はイベントに引っ張りだこ。日本テニス協会ナショナルチーム女子の吉川真司コーチは「午前練習の後、午後は駆り出され、コートに帰って来なかった」という。

 大坂は初戦で敗れた。

 「ランキングは単なる数字。1位はうれしいけど」「私は若い。学ぶことがたくさんある」。目に涙を浮かべて振り返った。心の不安定さは続き、1回戦で敗れたウィンブルドンは記者会見中、涙が止まらず退席してしまった。

 クロフトさんには申し訳ないが、「世界1位」の称号が即座に女王の強さを完成させたのではなかった。

 しかし、大坂はここで自らを省…

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