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 今秋のドラフト会議で指名された7選手の入団会見が先月22日、横浜市内のホテルで行われた。選手による自己紹介は、一人ひとりが座右の銘や抱負などを色紙に書いて語るスタイル。そこには高校時代の教えを守る選手がいた。

 明大からドラフト3位で指名された投手の伊勢大夢(ひろむ)は「喜力」と書いた。「きりょく」と読む。これは熊本・九州学院高校に在籍していた時、坂井宏安監督から授かった言葉「友喜力(ゆうきりょく)」からきている。「友を喜ばせる力」という意味だ。

 記者が最初にこの言葉を聞いたのは、熊本総局で高校野球を担当していた2009年だった。当時の主将が好きな言葉に「友喜力」を挙げた。ベンチに入れない3年生が率先して裏方に徹してくれる姿を目にし、「勝ってこいつらを喜ばせたい」との思いを強くしたという。この年、九州学院は熊本大会準優勝。あれから10年経っても「友喜力」は受け継がれていた。

 伊勢は入団会見で「ファンの方々やチームメートを勝利で喜ばせられる選手をめざしたい」と意気込みを語った。球団からは漢字2文字と指定され、「プロになったら、喜ばせるのは友だけではない」と自分で気づき、「友」を取った。

 坂井監督によると、高校時代から「強気に攻める投球」が、持ち味だった。今の時代には珍しく、3年夏の熊本大会は全6試合を1人で投げ抜き、初戦で敗れた春夏の甲子園でも、最後までマウンドを譲らなかった。心身のタフさは、そこで身につけた。

 進学先の明大では「森下(暢仁(まさと)、広島のドラフト1位右腕)の陰に隠れていました」。最速は150キロを超える真っすぐを武器に、先発を任されることも多かったが、プロではリリーフを希望する。「抑えの山崎康晃さんにバトンをつなげられるように、そしていずれは、そのポジションを狙えるようになりたい」(井上翔太)

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