【いきもの目線】ネコギギ@ぎょぎょランド=2019年10月8日、竹谷俊之撮影
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 ネコギギって知っていますか? 伊勢湾や三河湾に注ぐ東海地方の河川にだけ生息している魚で、国の天然記念物、絶滅危惧種にも指定されている。そのネコギギが今夏、愛知県豊川市の水族館「ぎょぎょランド」で、約500匹孵化(ふか)した。ネコギギの貴重な映像として、360度動画撮影に協力をしてもらった。

 10月上旬、体長約3センチに成長したネコギギたちが三つの水槽に分かれてバックヤードにいた。夜行性の魚で警戒心が強く、擬岩の下や暗がりに集まっている。カメラを設置するために擬岩を動かすと、慌てて逃げ出した。

 「この子たちは今後、生息に適した県内の河川に放流されます」と飼育員の杉浦篤史さん。ネコギギの保全活動をしている国土交通省設楽ダム工事事務所が保管し、11月に半数を放流した。杉浦さんによると、ネコギギは移動範囲が狭いため、河川改修や生活排水等による水質の悪化、大雨による増水など環境の影響を受けやすく、個体数の維持が難しいという。

 ネコギギの繁殖は数年に一度といわれる。縄張り意識が強く、オスとメスの相性もあって難しい。そんな中、同館では昨年、初めて1匹の孵化に成功した。今年は6月から7月にかけ、岩などに無数の卵が付着しているのを確認。成魚が卵を食べてしまう前に別の水槽に移し、生まれた稚魚も別の水槽に分けて管理した。繁殖期間中は、杉浦さんら担当飼育員が作業に専念できるよう、臨時職員を雇って飼育員が通常受け持つ作業を分担したという。

【動画】ネコギギのメイキング動画=竹谷俊之撮影

 杉浦さんによると、日本にいるナマズ目ギギ科の魚は4種類。ネコギギは丸っこい頭と猫のようなヒゲがあり、捕まえると「ギーギー」と鳴くことから名前が付いたという。ギギとナマズの違いは口周りのひげの数で、ギギは8本、ナマズは4本。昆虫の幼虫や小魚、エビ、藻類を好んで食べ、成魚になると体長13センチほどになるという。

 2007年11月、記者は愛知県設楽町の河川に潜ってネコギギを撮影したことがある。水深約1~2メートル。真っ暗闇の中、水中専用ライトを使って探しだし、1匹のネコギギを撮影した。12年経った今も、ネコギギの保全活動は続いている。そして、ダムの完成は2026年度に予定されている。(竹谷俊之)