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 ノーベル化学賞を受賞する吉野彰・旭化成名誉フェロー(71)は8日午後、スウェーデンのストックホルム大学で記念講演し、「持続可能な社会を達成するために、リチウムイオン電池が中心的な役割を担うだろう」と語った。

 10日(日本時間11日未明)の授賞式に先立つ「ノーベルレクチャー」と呼ばれる恒例行事。大学のホールに集まった学生やノーベル賞関係者らを前に、「リチウムイオン電池の開発経緯とこれから」と題して約30分話した。

 まず、1981年に旭化成で研究を始め、負極に炭素材料を使う基本特許を申請した流れなどを説明。発火や爆発が起こらないことを示す実験の映像を紹介し、「売り出していくには安全性が不可欠。これがリチウムイオン電池が生まれた瞬間だ」と説明した。

 自身の研究が、2000年に化学賞を受けた白川英樹さんの「電気を通すプラスチック」や、81年に化学賞を受けた福井謙一さんの「フロンティア軌道理論」の研究とつながっていることも説明。それぞれの年と今年の受賞者をすべて合わせると8人になることから「リチウムイオン電池は、ノーベル賞受賞者8人に支えられた幸せものだ」と話し、笑いを誘った。

 リチウムイオン電池は、太陽光などの再生可能エネルギーの電気をためることで、化石燃料の使用を減らして地球環境問題の解決に役立つと期待されている。「技術革新によって、持続可能な社会がまもなく訪れる。リチウムイオン電池がその中心的な役割を担うだろう。これが私の世界へのメッセージだ」と締めくくった。(ストックホルム=今直也)