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 昨年6月、走行中の東海道新幹線の車内で乗客の男性を刃物で殺害し、女性2人にけがを負わせたとして、殺人などの罪に問われた住所不定、無職小島一朗被告(23)の裁判員裁判が4日、横浜地裁小田原支部(佐脇有紀裁判長)であった。検察側の被告人質問で、死亡した男性の最後の様子が明らかになった。

 「男だろうと女だろうと、子どもだろうと老人だろうと、殺すつもりでした」。昨年6月9日、その後の運行に影響が出ないよう、最終列車を選び、東京駅から乗車。新横浜駅で窓側に女性が座ると、かばんを置くふりをして、なたを女性に振り下ろした。

 犯行を止めようと「おい」と肩をつかんだ男性を被告はなぎ払い、別の女性を襲ったが、逃げられた。「倒れている方が殺しやすい」。仰向けに倒れている男性を襲うことにした。

 馬乗りになると、男性は「待て、話を聴け」と訴えた。「問答無用でなたを振り上げ、首にたたき込みました」。男性はしばらく経つと動かなくなった。「よし、人を殺せたぞと思いました」。法廷内に響き渡る声で、被告は言った。

 刑務所に入りたいという被告の願望は「子どものころからの夢だった」。刑務所の何が良いのか問われると、「良いところを変えられてしまうので、説明しません」と述べた。

 両親や祖父母をどう思っているか問われると「黙秘します」と繰り返した。

 この日は精神鑑定医も出廷。「被告は猜疑性パーソナリティー障害があり、自分が攻撃されていると思う傾向が顕著」と述べた。元々自閉的でコミュニケーションに支障があったが、家族らの理解が乏しく、次第に増幅したものではと分析。医療だけでなく社会全体がどう支えるかが問われると指摘した。

 被告の起訴内容は、昨年6月9日、東海道新幹線車内で乗客の会社員梅田耕太郎さん(当時38)を殺害、ほか女性2人にけがを負わせたというもの。(山下寛久)