1歳になった長男をいつものようにふろに入れていた。自分も裸になり、2人で笑いながら泡をいっぱい作った。
浴室の外から妻の声がした。「お父さん、保健所でおちんちんをきれいに洗うようにって言われたからよろしくね」
当時34歳だった竹中勝美さん(63)が長男の性器に手を伸ばして、洗おうとした瞬間、心の奥底に封印してきた過去の出来事を思い出した。フラッシュバックだ。手や体の感触、臭いがよみがえった。
「うゎーっ」。大声を上げると、妻が浴室のドアを開けた。「どうしたの?」。その声に我に返った。
以来、あのシーンが頭に浮かび、気が狂いそうになった。
物心がついたころから中学卒業まで、カトリック系の児童養護施設で育った。父の顔は知らず、母は精神を病んで入院していた。
子どものころに受けた性暴力は、心身に深い傷を刻み込みます。しかし、その多くは埋もれたままです。この状況をどうしたら変えられるのか。被害に深く傷つきながらも、勇気を持って実名で語る被害者たちに話を聞きました。
勉強がよくでき、施設の職員に…
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朝日新聞社会部