がんになった妻は、記者である僕に料理を教え始めました。在宅介護の中で、大笑いする時もあれば、口数が少ないことも。そして、食いしん坊で暴れん坊だった妻は……。妻のブログのイラストとともに紹介します。

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僕のコーチはがんの妻 第16話(全16回)

 2018年9月23日は千葉県に住む妻の姉が泊まってくれた。足をマッサージする義姉に、「お姉ちゃん、しんどいからええよ。コイツにやらせたらええ」と僕を指さす。義姉は「これだけやってもらってコイツはないでしょ?」と言って大笑いした。

 夜、「お姉ちゃんが『かわいい妹』って言ってたなぁ」と僕が言うと「うれしい。あこがれのお姉ちゃんや。頭がよくて、きれいで」。小学生にもどったように「お姉ちゃん」に甘えた。翌日はあまり言葉が出なかったが、好物の洋菓子を買ってきたら「アップルパイだぁ!」と目を覚まし、3分の2を平らげた。

 26日夕方、うつ病で入院中の僕の友人から電話があり、妻に替わった。「ちょっと待ってね、屁(へ)がでそうや」「元気やで。ちょっと待ってね。足が痛いねん。足が痛くてね」。会話はかみ合っていないが楽しそう。そのうち「2人ともグダグダやな」と妻。見舞いに来ていた友人と爆笑した。

拡大する写真・図版2003年冬、吹雪の久住山へ。妻は「こんな日に登らんでええのに。あんたは平凡な人生に満足できないんか!」と文句を垂れながら歩いた=妻のブログ「週刊レイザル新聞」から

 このころから「私はもう病気じゃない。おいしくないもんはいらん」と薬を吐き出すようになった。歯を磨けなくなった。口数も減った。声を聴きたくて「俺のこと好き?」と尋ねると、うるさそうにプイッと反対を向いて「好きに決まってるやんか!」。

 28日、腹水が減りおなかがへ…

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