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 奈良出身の漫才コンビ、笑い飯の哲夫さん(45)と巡るならまちも、いよいよ大詰め。元興寺をスタートし、町家が残る街並みを歩いた。カラオケが歌える銭湯から出ると雨もやみ、マリア観音と呼ばれる仏像を拝んだ。そこから近鉄奈良駅方面へ、北に進む。学生時代の思い出がつまっているという「もちいどのセンター街」を歩いた。

 

 ここにあった焼き肉店ですよ。今は別の焼き肉店に変わっていますね。大学生のころ、母校の奈良高校で教育実習をしたんです。文化祭が終わったあと、30~40人ぐらいの生徒と焼き肉を食べにきました。「打ち上げやらへんのか、やれや」と誘って連れてきたんです。

 あのころは、めっちゃバイトしていて、お金があったから全員分をおごりましたよ。当時はシャッターが下りている店が多くて、今のように発展していなかった。夜になると人通りなんて、ほとんどありません。

1974年、奈良県生まれ。関西学院大卒。2000年、西田幸治さんと漫才コンビ「笑い飯」を結成。10年、「M―1グランプリ2010」優勝。12年に奈良市観光特別大使、15年に奈良国立博物館文化大使に就いた。

 

 アーケードのある商店街を、さらに北へ進む。ここに来る前に立ち寄った「花園新温泉」の生田弘子さん(85)とばったり会った。健康のために歩いているそうだ。商店街を行き交う人たちが哲夫さんに声をかける。「いつもテレビで見てますよ」「がんばってください」。「一緒に写真を撮ってほしい」と頼まれると、哲夫さんが笑顔で応じた。この商店街には、いくつかの古本屋がある。

 

 エロ本をよう売りにきたんです。高校生のときですよ。奈良でエロ本を売れるのは、この商店街の古本屋ぐらいしかなかった。エロ本を売ってから何カ月かたって、また売りにくるわけです。あのとき手放したエロ本はどうなっているかなと値段をみると、売ったときの10倍ぐらいの値段がついている。でも、愛着があるから懐かしくなって、また買っちゃう。あほですよねえ、ほんま。

 スポーツ用品店にも、よう来ましたよ。高校生のとき、サッカーをやっていたから、サッカーの道具を探しにきました。買うのはアディダスばかりです。あのころ、アディダスは人気で、ちょい高かった。サッカー部ではレギュラーになれなくて。補欠のくせに、道具だけは、ええもんばっかり買っていました。

 

 商店街から大通りの三条通りに出る手前に、東へ抜ける路地がある。この先は猿沢池。池の周りには柳があり、シカも見かける。この路地に昨年8月、生搾りサワー専門店「color」(奈良市元林院町)がオープンした。日も傾きはじめ、ちょっと一杯。

 

 オープンしてすぐにテレビ番組のロケで来て、プライベートでも何度か寄らせてもらっています。奈良産のフルーツを使っていて、お酒を飲めない人にはノンアルコール、子どもにはミルク割りもあります。

 ぼくが20代のころには、ここまでおしゃれな店が、ならまちにできるなんて考えられなかった。奈良に海があるんじゃないかと勘違いさせてくれるぐらい、トロピカルですね。路地ってのもええでしょ。なにか秘密が隠されていそうで、路地、好きなんです。

 

 前回はキウイサワーを飲んだというので、今回はイチゴサワーを注文した。運ばれてきたサワーには、10粒以上のイチゴが使われていた。

 

 うまそうやなあ。ストローで飲むと……。はいっ、イチゴですわ。さっぱりしていて、おいしい。インスタをやっておけばよかった。インスタに写真をアップすれば、すごい反響でしょう。ストローを通して入ってくるイチゴの食感もいい。このイチゴは、この形からすると、「あすかルビー」ですね?

 

 「さすがです」とオーナーの奥田博昭さん(35)が驚く。

 

 奈良はイチゴをがんばってますからね。奈良のイチゴといえば、「あすかルビー」か「古都華(ことか)」。このサワーに入っているのは、あすかルビーです。形を見れば、すぐにわかります。奈良は果物だけじゃなく、野菜もええもんがたくさんありますから。

 

 店を後にして猿沢池へ。池の向こうに、興福寺の五重塔がライトアップされていた。

 

 ならまち満喫ツアーでしたね。最高でした。こうして歩くと、インターネットやガイドブックにはない驚きや発見があります。おしゃれな店もあれば、風情あるレトロなところもあります。ならまちの奥深さを実感できました。(岡田匠)

【動画】奈良市の旧市街「ならまち」を「笑い飯」の哲夫さんが散策=福岡龍一郎撮影