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 特命は、アブだった。

 東京オリンピックを翌年に控えた1963年の初夏。軽井沢中学校で理科を教えていた24歳の教師だった浅川文彬(ふみよし)さん(80)に、県衛生部(当時)から奇妙な依頼が舞い込んだ。「アブの駆除方法を研究してもらいたい。オリンピックの成功のために」

 アジア初の五輪開催を間近に沸き立つ日本列島。20競技163種目のうち、東京から最も離れた地で開催されたのが総合馬術で、会場は軽井沢だった。歓喜に包まれる地元とは裏腹に、東京の組織委員会を悩ませる問題があった。

 アブだ。町には森や湿地が多く、その頃は夏場に大量発生した。各国からやってくる馬が刺され、暴れたり、体調を崩したりでもしたら――。「もしものことがあれば日本の恥だ」。同じ中学の理科教師4人に白羽の矢が立った。

 でも、なぜ地元の先生にそんな…

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