[PR]

 車上荒らしでゴルフクラブなどを大量に盗んだとして県警に逮捕された5人のうち、神戸市で障害者就労支援施設を運営していた男(43)=盗品等有償譲り受けなどの罪で実刑判決=が、施設利用者に盗品を磨かせるなどして転売していたことが明らかになった。障害者が利用されたことに、支援者からは「施設運営者のチェックが不十分だ」との声が上がる。

 県警によると、5人による被害は2016年12月からの約2年で約1700件(総額約3億1千万円)。捜査関係者によると、実行犯3人が盗んだゴルフ用品を、リサイクル店経営者が買い取って保管。施設運営者は一部を知的障害者に磨かせたり、梱包(こんぽう)させたりして、リサイクル店を通してネットの競売サイトに出品していた。県警は約6400万円の売り上げを確認したという。

 神戸市の資料によると、運営者は昨年6月、市の指定を受けて「就労継続支援B型」の事業所を開いた。障害者総合支援法に基づき、一般企業で雇用されるのが難しい知的障害者らに就労訓練をする施設だ。障害者には工賃が支払われるが、最低賃金は適用されない。運営者は逮捕されるまでの約5カ月間、市から計約50万円の訓練給付費も受けていた。

 関係者によると、この施設は書類に、訓練内容を「電動工具・ゴルフクラブの清掃、商品の写真撮影、梱包作業」と記していた。事件関係者は朝日新聞の取材に「男は人件費など事業のコストを抑えることが開所の目的だったと話していた」と語った。

 障害者の作業所などでつくる全国団体「きょうされん」(東京)の多田薫事務局長(58)は、「起こるべくして起きた」と言う。06年施行の障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)で、障害者支援施設の運営に社会福祉法人だけでなく、企業も参入できるようになったことが背景にあると指摘する。「営利が先に立ちすぎると障害者を食い物にしようとする事業者も出てくる。自治体任せではなく、国が主導して事業者をチェックする制度を整えるべきだ」と話す。(笹山大志)