拡大する写真・図版夜の繁華街。若者の姿を見かけることは珍しくない=2019年12月25日午後9時9分、名古屋市中区錦3丁目、竹井周平撮影

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――女性は18歳だった6年前の夏の夜、神戸市内の駅前で男を待っていた。

 男の顔も名前も知りませんでした。

 「家にいたくない」

 数日前、ツイッターでやりとりをしていた男にそうメッセージを送ったら、返事はすぐにきました。

 「ご飯でも行こうか。その後、うちに泊まったらええやん」

 「うん」と返しました。相手のことはツイッターでしか知らないけど、話は聞いてくれそうだったから。なんとなく。

 駅でしばらく立っていると、何度も視線が合う男がいて、近づいてきたんです。

 「○○ちゃん?」

 男は20代半ばくらい。細身の体形で小顔。それに奥二重。正直、タイプでした。

2019年11月、大阪市の小学6年の女児が行方不明になり、栃木県小山市で保護された事件。逮捕された男はSNSを通じて女児と接触し、誘い出したとされる。SNSを通じた誘拐事件は後を絶たないが、子どもたちはなぜSNSでの誘いに乗るのだろうか。SNSを使って家出を繰り返した経験がある女性が、当時の胸の内を語った。

 「お待たせ。おいしい店を探しておいたから行こうか」って言われて、駅近くの焼き鳥屋に行きました。「どこに住んでるの?」「普段は何してるの?」。たわいもないおしゃべりをしていました。

 店を出ると、歩いて15分ほどの男のマンションに向かいました。部屋はきれいに片付いていて。アルコールの勢いをかりて、一気に悩みを打ち明けたんです。

 「親がいちいちうるさい。すぐにけんかになる」「朝から晩までバイトでしんどい。店長もうざいし、こんな生活は嫌だ」

 男は缶チューハイを傾けながら、「うんうん」と話を聞いていました。

――話が一段落すると、男はたばこの火を消し、体に手を伸ばしてきた。

拡大する写真・図版かつて家出を繰り返していた女性。今では悩みを抱える少年少女の相談に乗っている=名古屋市中区(スマートフォンの画面を修整しています)

 わかっていたから抵抗はしませんでした。心が苦しいときほど、優しい言葉をかけてくれる相手にすがってしまう。たとえ体目的でも。

 とにかく、家から逃げ出したかったから。

少年少女に街頭で声をかけ、居場所を一緒に見つける活動をする全国こども福祉センターの問い合わせ先は、メール(kodofc@gmail.com)、フェイスブック(www.facebook.com/k0domo)そのほか、ツイッターやインスタグラムでも「全国こども福祉センター」のアカウントがあります。

中学時代の家出先は友人宅

――女性をかわいがってくれた父親は、女性が小学生のころに家を出ていた。

 母は仕事の不満を私にぶつけるようになって。話したいことがあったけど、そんな雰囲気じゃなかったんです。それに母は2歳下の弟と話しているときのほうが楽しそうだった。弟の野球の試合があると、私のバレーボールの試合には来てくれなかった。

 「いてもいなくても同じなのかな」と思いました。

 部活を引退すると家にいる時間が増えて、母とぶつかるようになったんです。

 「勉強はしているの?」

 「やっとるわ」

 「(帰ってくるの)遅いよ」

 「うるさいわ、ボケ」

 反抗期とも重なって、母がいることにすら、イライラするようになっていました。

 家にいるのが嫌になって、友だ…

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