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医の手帳・甲状腺の病気(2)

 前回に引き続き、甲状腺の病気についてお話しします。甲状腺は、甲状腺ホルモンを作りますが、このホルモンが不足した状態を「甲状腺機能低下症」と言います。その代表格が「橋本病(慢性甲状腺炎)」です。甲状腺の病気の中でも特に女性に多く、自己免疫の異常によりホルモンの産生が低下することが原因ですが、バセドウ病と同様になぜ自己免疫の異常が起こるのかはわかっていません。甲状腺ホルモンは、活気など全身の代謝を調節することから、不足すると以下のような症状が表れます。

 全身の代謝が低下するため、寒がりになったり、脈が遅くなって意欲や集中力が低下したりすることから、無気力になります。また食欲が低下するにもかかわらず、体重が増えたりむくみがでたりします。甲状腺が腫れたり、皮膚が乾燥したり、髪の毛が減る人もいます。血液中のコレステロールが増えることで、動脈硬化が進むこともあります。このような症状に気づいた場合、お近くの内科を受診すれば、血液検査などで診断できます。治療は、内服治療により足りないホルモンを補充することになります。心臓への負担を軽くするため、高齢の方や心臓病がある方では、少ない量から徐々に量を増やしていきます。

 甲状腺機能低下症に似た症状を起こす病気として、「認知症」や「うつ病」があります。症状だけで見分けることが難しいため、血液検査で甲状腺ホルモンを確認します。

 このように、甲状腺機能低下症の症状はその他の病気と似ているため、疑わしいと思った時にかかりつけの病院で検査を行うことで、診断と治療を行うことができます。またバセドウ病と同じように遺伝しやすいので、そのことも早期発見の参考になります。(新潟大学大学院医歯学総合研究科 藤原和哉特任准教授〈血液・内分泌・代謝内科学〉)