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 日韓関係が「最悪」といわれるさなか、韓国・京畿道高陽市で11月下旬、「日韓市民100人未来対話」が開かれた。日韓50人ずつが腹を割って話し合い、今後、共同プロジェクトに取り組むことを確認した。

 対話は2017年に始まり、今年で3回目。韓国国際交流財団(KF)やソウル大学日本研究所、早稲田大学韓国学研究所が主催し、両国から様々な職業や年代の人が参加してきた。

 今年は他の民間交流の中止が相次ぐなか、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)がぎりぎりで維持された直後に、予定通り開かれた。KFのイ・グァンチョルさん(50)は「政府間の対話が難しい時こそ市民同士で議論を続けることが重要」と語った。

 韓国・釜山市内の高校で日本語を教えるチェ・アルミさん(32)は「お互い、文化にはいいイメージがある。もっと好きになるエネルギーもあるのに、政治に左右されて交流しないのは非常に残念」と参加した。

 日本に留学した時に「韓国は嫌い」と耳にした。日本語を学ぶ釜山の高校生が、留学や日本製品の購入をためらう現実もある。「一日でも早く、仲良くなったらいいな」と話した。

 対話は泊まり込みで3日間。最も白熱したのは2日目の八つの「分科会」だった。コの字形に座り、市民の平和連帯や災害対応、草の根交流といったテーマで話し合った。

 災害対応の分科会では、一般社団法人「ピースボート災害支援センター」の小林深吾さん(39)が「災害は私たちを被災者にも支援者にもする。だからこそ、地域だけでなく国境をも越えた支援の枠組み作りを」と呼びかけた。小林さんは東日本大震災後、宮城県石巻市などで支援活動を担ってきた。韓国側からは「被災者のニーズをどう把握するのか」などと質問が相次いだ。

 KFは参加者有志から共同プロジェクトを募り、最高約100万円を助成する。成果は来年日本で開く4回目の対話で発表してもらう。小林さんは、日韓の市民が共同で被災地を支援したり、防災・減災プログラムを作ったりするプロジェクトを進める考えだ。

 初回から関わるソウル大学のナム・キジョン教授(55)は「活発に意見が出て、3回目にして随分と対話が進化した。アイデアを具体化し、実際にできる活動を考えたい」と話す。

 ソウルの大学に留学経験がある慶応義塾大学4年の清水真帆さん(22)は、年1回の対話だけでなく、日常的なやりとりが大事だと考えている。「SNSで互いの悩みや好きなことを共有したら、その時点でもう『交流』じゃないかな」

 最終日は100人で総合討論をした。小説家のイ・ジンさん(37)は「韓国にポジティブな考えを持つ日本の20代と出会えたことが印象的だった」と笑顔で振り返った。参加者の一人は「もう『最悪』という言葉を使うのはやめよう」と呼びかけていた。(三井新)