40代男性。数年前から、果物を食べると、のどの内側がかゆくなったり、皮膚が赤くなったりします。食物アレルギーだと思うのですが、大人の場合、どのように診断してもらうのでしょうか。また、治療法はありますか。(兵庫県・Y)
拡大する小林良樹(こばやしよしき)さん、関西医科大病院アレルギーセンター副センター長=大阪府枚方市
Q 食物アレルギーを成人後に発症する人は多いのでしょうか。
A 公的な統計はありませんが、当センターでは1カ月に10人程度、初診の患者が来ます。年々増えていると感じます。成人の食物アレルギーで多いのは、コムギや、エビ、カニなどの甲殻類です。コムギでは、食後の運動によって症状が出る、運動誘発性のアレルギーもあります。花粉症の患者が果物などを食べると口内にかゆみや腫れがでる「花粉・食物アレルギー症候群」も知られています。
Q 診断や治療は。
A 問診での確認後、血液検査によって、詳しい原因を調べます。特定の食べ物に反応する食物アレルギーだけでなく、複数の食べ物に共通して含まれる化学物質によって起きる「仮性アレルギー」という可能性もあるため、どの食べ物の何が、というところまで突き止めます。
一方、根本的に治す方法はないのが現状です。子どもでは医師の適切な管理下で、ごくわずかな量を食べさせて少しずつ増やしていく経口免疫法の有効性が報告されていますが、成人では科学的な根拠が乏しい段階です。
Q 特定の食べ物を絶つしかないのでしょうか。
A 呼吸困難のような命にかかわるリスクがある人は該当する食べ物を避け、アドレナリンの自己注射をできるようにする必要があります。ですが、症状は個人差があり、同じ人でも状況によって異なる場合も珍しくありません。食品中のわずかな原材料などを恐れすぎても心身に良くありません。定期的に専門の医師を受診し、体の状態を確認しながら付き合っていくことが大事でしょう。
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