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 「帰国事業」といわれる在日朝鮮人の北朝鮮への帰還運動が始まって、14日で60年になる。海を渡った人々はそれっきり戻ることはできず、自由に往来できる日は見えない。日本に残った家族は、「帰国」の意味を問い続けている。(論説委員・中野晃)

 事業が始まって2カ月ほどの1960年2月、金仁宗(キムインジョン)さん(80)は、新潟港から北朝鮮の清津(チョンジン)に向かう「帰国船」を見送った。五つ上の兄、太宗(テジョン)さんが乗り込んでいた。ともに20代。悲壮感はなく、期待と希望にあふれていた。

 当時暮らしていた大阪市生野区の自宅周辺からも帰国者が相次いだ。金さんもすぐに後を追うつもりだったが、申請者が多くてあきらめ、兄からの知らせを待った。

 日本の敗戦の3年後、朝鮮半島…

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