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 バドミントンの男子シングルスで世界ランキング1位の桃田賢斗(25、NTT東日本)の東京五輪出場が確実になった。11日に中国・広州で開幕したワールドツアーファイナルに出場し、台湾の選手を相手にストレート勝ち。この大会のポイントを得たことで、残りの国際大会の結果にかかわらず、出場条件を満たすことになった。

 男子シングルスは、来年4月末時点のランキングで16位以内に入れば、日本勢上位2人が出場でき、現在桃田は1位を走っている。桃田は違法賭博問題で無期限の出場停止処分を受け、リオデジャネイロ五輪への派遣を見送られており、このまま日本バドミントン協会が正式に決定すれば、自身初の五輪代表となる。

封印してきた「オリンピック」

 桃田本人から、はっきりと「オリンピック」という言葉を最初に聞いたのはいつだっただろうか。それくらい言葉を選び、慎重だった姿が記憶に残る。

 違法賭博問題による無期限の出場停止処分が2017年に明け、18年に日本代表に復帰しても「まだ考えられない」と言ってきた。その年の9月に東京五輪の会場であったダイハツ・ヨネックスオープンで優勝。「みなさんの前で優勝できて、オリンピックに向けて自信になった」といった。それが初めて、「自分が出る」という意思を公に口にしたときだった気がする。

 遊び心あふれるプレーと強気な発言を繰り返していた男が、復帰直後は常に周囲の目を気にしていた。

 コートは報道陣に囲まれ、シャトルの置き方など動作一つにも気を使った。「これで怒られないかな、と考えていた」。休日に同僚と飲んでも「あいつ、飲みにいってるじゃんと、言われないかな」。プレーもどこか縮こまっていた。

 そこから勝ち続けることで、自信を積み重ねてきた。今年、国際大会で10度優勝。5月に東京五輪への思いを聞くと、「東京は一番、自分の姿勢をみてもらえる。恩返しができる場所だと思う」といった。今までとは違う言葉だった。

 桃田はよく、08年北京五輪男子シングルス決勝の動画をみるという。地元の英雄、林丹(中国)が圧倒して勝つ試合だ。ライバル不在ともいわれるなか、自国開催のプレッシャーを背負い、いかに精神状態をピークに持っていけるか。東京で勝つための歩みを始めている。(照屋健)