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 12月上旬、大阪市立大学の図書館を歩く人たちが、先っぽに車輪がついた不思議な杖を持っていた。正体は、ロボットの一種だ。正式名称は「視覚障害者用杖型ガイドナビ装置」。事前に記憶させたコースに沿って車輪の向きが変わり、後ろを歩く人を誘導するという。この日は、視覚障害者が使用感を試す実証実験をしていた。

 大阪市の全盲女性(69)は普段、ヘルパーとともに外出することが多いという。「まだ重いし大きいが、とても期待している。電柱や溝などの障害が多い公道でも使えるようになればいいな」

 装置は、同大学の今津篤志講師(ロボット工学)が「視覚障害者がいつでも、1人で安心して外出できるようにしたい」という思いで、10年前に開発を始めた。最初は杖の先に子ども用の三輪車や車のおもちゃをつけて実験したという。5年ほど前に二輪タイプにアレンジ。後輪駆動の車のように、利用者が杖を持って押しながら進む。装置は左右に曲がるかじと、障害物の手前で働くブレーキの役を担う。人間とロボットの協調を大切にしたいという、今津さんがこだわった仕組みだ。

 実験では、図書館内をすいすい進む人のほか、車輪の向きを杖の角度から判断せねばならず、感覚をつかむのに苦労する人もいた。「車いすのような乗り物ではなく、自分の足を使えるのがいい」「動きがスムーズ」などの評価とともに、「曲がる前に音声で説明してほしい」「人を障害物と判断すれば、人混みの中で止まりっぱなしになってしまう」など要望や課題を指摘する声も上がった。

 「完成度が低い部分もあるので、利用者の気持ちに寄り添う形で開発を進めたい」と今津さん。今後、簡単に充電できる装置や防水対応の機種をつくり、屋外での実証実験をしたいという。研究費は、26日までクラウドファンディング(https://readyfor.jp/projects/guidecane別ウインドウで開きます)でも募っている。(鈴木智之)