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 経営再建中の液晶パネル大手ジャパンディスプレイ(JDI)は12日、資産運用会社いちごアセットグループから800億~900億円の金融支援を受け入れることで基本合意したと正式に発表した。来年1月中に最終契約を結び、2~3月の資金調達の完了をめざす。崩れた金融支援の枠組みを早期に立て直したい考えだが、資金調達の実現には不安要素も残っている。

 発表によると、いちごアセットグループ傘下でシンガポールに拠点を置くいちごトラスト・ピーティーイーから資金を調達する。同社は2010年に組成され、今年9月末時点で6810億円を運用している。主に欧米の大学基金や財団、年金基金から資金を集め、日本企業への長期投資に特化した資産運用会社だ。JDIへの出資額や具体的な条件は、今後協議して決めるとしている。

 資金調達が完了すれば、JDIの筆頭株主の官民ファンドINCJ(旧産業革新機構)が、これまでにJDIに貸し付けた400億円の返済期限を延長する用意があることも発表した。

 一方、関係者によると、主要顧客の米アップルが、JDIがいちごから400億円以上を調達することなどを条件に、7月から操業停止中の白山工場(石川県)の一部設備を2億ドル(約216億円)で買い取ることを検討中だ。台湾の電子機器受託製造大手ウィストロンからも、5千万ドル(約54億円)の支援を受けられるという。

 JDIは今年4月、中国・台湾の企業連合から、JDIへの出資を目的に作られた企業「Suwaインベストメントホールディングス」を通じて最大800億円の金融支援を受け入れると発表した。だが、9月までに中台連合の全3社が金融支援の枠組みから離脱し、資金調達は行き詰まっていた。JDIは、Suwaを通じた出資が12月31日までに実施されなかった場合に、いちごから資金を調達すると説明している。金融支援の枠組みが大きく変わる可能性がある。

 菊岡稔社長は記者会見で「(いちごは)長期保有を前提とし、事業再生に熱心な投資家だと感じている。熱心なサポートを頂けそうだと心を強くしている」と述べ、資金調達に自信を見せた。これまではSuwaを通じて出資予定者と交渉していたが、いちごとは直接交渉していることなどを理由に挙げ、「(資金調達できる)確度は高いと思っている」と話した。

 だが、金融支援の受け入れ交渉は、最終契約を結んだ後も出資が見送られるなど二転三転しており、実際に資金が振り込まれるまでは、再建の行方は予断を許さない。(高橋諒子、笹井継夫