拡大する写真・図版 絶滅危惧種のアマミハナサキガエル=小峰浩隆・東京農工大特任助教撮影

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 外来のマングースが持ち込まれた鹿児島県の奄美大島のカエルは、敵が近づくといち早く逃げ出すよう進化した可能性があることが、東京農工大や国立環境研究所などの研究でわかった。外来種は在来種を食べて減らすだけでなく、在来種の行動にまで影響を及ぼすことを示す結果と研究グループはみている。

 研究成果は今秋、ロンドン動物学会の専門誌「ジャーナル・オブ・ズーオロジー」に掲載された。

 奄美大島には1979年、毒蛇のハブを減らそうと外来種のフイリマングースが放たれた。だが、アマミノクロウサギなど貴重な在来種を捕食したため、環境省が2000年に駆除を開始。現在は根絶に近づいている。

 東京農工大の小峰浩隆特任助教(生態学)らは13年、マングースが生態系に及ぼした影響を調べようと、捕食対象のアマミハナサキガエルに着目。複数の地域で、林道にいたカエル278匹の「逃避開始距離」を計測した。

 逃避開始距離は、人間がどこまで近づけば逃げ出すかという動物の逃避行動を評価する指標。マングースの放たれた地点から24キロ離れた地域では、カエルは人間が平均1・43メートルに近づくまで逃げなかった。

 一方、放たれた地点から10キロの地域だと、平均3・23メートルの距離があっても逃げ出すなど、マングースの影響が大きい地域のカエルほどいち早く逃げ出した。

 調査した13年時点で、マングースはほぼ駆除されていたのに、すぐに逃げるカエルがいた点を踏まえ、小峰さんは「マングースがいなくなっても、カエルの行動の変化はすぐには戻らない」と指摘。外来種が在来種の行動にも影響を与えていたことについては「他の在来種でも起きている可能性がある」としている。(竹野内崇宏)