三大レース12回完走 新城幸也を導いた「にいちゃん」
権敬淑
18歳で自転車ロードレースの本場のヨーロッパに渡り、2008年からは第一線のプロとしてトップ・ツアーを戦い続けている新城幸也さん(35)。ツール・ド・フランスなどの最高峰とされる三大レース「グランツール」を完走すること12回。大学受験に失敗した青年に、世界への扉を開いてくれたのは、先輩レーサーの応援と励ましの言葉でした。
3カ月で終えるつもりが
中学・高校とハンドボールに打ち込み、大学でも続けるつもりだった。だが、受験に失敗。「なんで、同じ勉強を繰り返さないといけないんだ」。くさって悩んだ末に、父親の知り合いで、「にいちゃん」と慕っていた福島晋一さん(48)を頼って、気分転換のつもりで渡仏した。3カ月で戻って、予備校に通うつもりだった。
福島さんは全日本選手権も制したことがある日本のトップレーサーだ。当時、本場でツール・ド・フランスを目指して戦っていた。彼自身、大学を休学してヨーロッパに渡り、経験の違い、体格の違い、なにより言葉の壁など、選手として活躍する以前のアウェーならではの苦労を経験していた。
「自分がいろんな回り道をしたから、どうせやるならお前にはそんな苦労はさせたくない、という思いがあったんだと思います」と新城さん。住む場所、レースへの参加手続きなど、一切を整えて迎えてくれた。
最初はそこまで打ち込む覚悟…