[PR]

 ユネスコ(国連教育科学文化機関、本部パリ)は13日、無形文化遺産に指定されているベルギーのカーニバルが今年の祭りでユダヤ人を風刺したとして、登録を取り消すことを決めた。AFP通信によると、無形文化遺産の取り消しは初めて。差別表現にあたるとの指摘に対して地元は「表現の自由だ」だと反論しており、ユネスコとの対立が深まっていた。

 問題となったのは、首都ブリュッセル近郊、アールストのカーニバル。同通信によると600年以上の歴史があり、2010年に無形文化遺産登録された。今年3月の祭りでは、かぎ鼻のユダヤ教徒がネズミに囲まれ、金の袋に座る山車が街を練り歩いたという。

 これをユネスコが「反ユダヤ主義的」だとして10月、ベルギーに説明を求めたところ、アールストのダーゼ市長が同通信に「(祭りでは)教会も国王も、国際政治もユダヤ人もイスラム教徒も風刺する。表現の自由の範囲内だ」と語り、反発した。双方の溝は埋まらず、今月1日には、市側が登録取り消しを一方的に宣言する異例の声明を出していた。

 ユネスコは13日に出した声明で、「反ユダヤ主義的で人種差別的な表現は、人権や互いのコミュニティーの尊重を規定した無形文化遺産保護条約と相いれない」と取り消し理由を説明した。(ブリュッセル=疋田多揚)