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 南極観測船「しらせ」は南極大陸のトッテン氷河沖に着き、61次観測隊は14日、ヘリコプターで上空から氷河周辺の海域の観測を始めた。トッテン氷河周辺は氷の流失が目立ち、地球規模の海面上昇への影響が心配されている。

 南極圏に入り、氷の海を航行中のしらせは、バックして勢いをつけて氷を割る航行を繰り返し、観測地点に近づいた。14日朝、甲板から飛び立った大型ヘリに同乗した。はるか南に水平線と見まがうような白く緩やかなふくらみが見えた。南極大陸だ。

 トッテン氷河での氷の流失は、氷河末端の下に入り込む温かい海水に原因があるのではとみられている。海と氷が接する所で何が起きているのかを探ろうと、様々な観測が計画されている。

 この日はヘリ後部の開閉部を開けたまま飛行し、海氷の隙間から機器を海に投入した。真っ白な氷海の中、湖のように静かな濃紺の海面が所々のぞく。狙いを定めると、ヘリの高度を落とし、筒状の機器を投げ入れていく。

 1分ほどすると、投げ込まれた機器が沈みながら送信してきた水深や水温、塩分濃度のデータを捉えることに成功。「来ました!」。機内で受信を待っていた北海道大の山崎開平さん(26)が合図した。この日は、場所を変えながら15本投入した。

 観測チームの北大の中山佳洋さん(33)は「初めての観測で不安だったが、多くの人たちの尽力で成功できた。本当に感謝している」と話していた。(しらせ船上=中山由美