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医の手帳・甲状腺の病気(3)

 甲状腺の病気には、前回までの「ホルモンを作る働きの異常」の他に「しこり(結節)ができる病気」があり、両方が一緒に生じることもあります。結節には良性腫瘍(しゅよう)、悪性腫瘍、腫瘍様病変があります。結節の発見率は触診で1~2%、超音波検査で7~30%で、ほとんどが良性です。

 良性腫瘍は「濾胞腺腫(ろほうせんしゅ)」といい、被膜(カプセル)で包まれた結節です。日本人に比較的多いですが、その原因はわかっていません。悪性腫瘍には、成熟した細胞から生じる「乳頭がん」「濾胞がん」、細胞が非常に未熟で悪性度が高い「未分化がん」、カルシトニンというホルモンを作る細胞から生じ一部遺伝性がある「髄様(ずいよう)がん」、慢性甲状腺炎に生じやすい「悪性リンパ腫」があります。腫瘍様病変は、不完全な被膜で覆われた様々な性状や大きさの結節が1~数個できる「腺腫様甲状腺腫」、内部に液体のたまる「囊胞(のうほう)」があります。

 大きい結節は前頸部(けいぶ)の腫れで気づきますが、小さい結節はCTなどで偶然発見され、自覚症状はありません。未分化がんや悪性リンパ腫では急に結節が増大して痛みや発熱を伴うことがあります。診断には血液検査を行い、超音波検査で結節の大きさや性状を評価した後、穿刺(せんし)吸引細胞診という、結節に細い針を刺して細胞を採取し顕微鏡で調べる検査をします。

 がんやがんの疑いがある場合は原則手術をします。乳頭がんと濾胞がんでは転移の状況に応じて放射性ヨウ素の内服治療や分子標的薬を追加します。未分化がんでは化学療法、放射線治療、分子標的薬も組み合わせた治療を行います。悪性リンパ腫は化学療法や放射線治療が奏功します。良性と考えられる場合、治療は不要ですが、定期的な血液や超音波の検査で経過観察をします。4センチ以上の大きいものや徐々に増大する場合などは、悪性の可能性も考慮し手術を検討します。(新潟大学大学院医歯学総合研究科 山田貴穂助教〈血液・内分泌・代謝内科学〉)