[PR]

 自宅でひきこもり状態だった長男を殺したとして、殺人罪に問われた元農林水産事務次官・熊沢英昭被告(76)に、東京地裁は16日、懲役6年(求刑懲役8年)の実刑判決を言い渡した。中高年のひきこもりと高齢の親の家庭で起きた悲劇が社会の注目を集めた事件。判決後、裁判員を務めた6人全員と補充裁判員1人が会見に応じた。

 裁判員を務めた20代の女性会社員は「正直、すべてが明らかになったとは思わない」としつつ、「家族の問題は小さなことも含めて誰しも経験する」と述べ、今回のケースがひとごとではないと指摘。裁判を終えて「何かあったら家族に頼れる関係を大事にしながら過ごしたい」と語った。

 30代の女性会社員は、被告や妻の話に「同情したり共感したりしたことは少なからずあり、どこまで感情を入れていいか悩んだ」と振り返った。その上で「外部に相談しなかった」という事件の特徴を念頭に「世の中には同じような問題を抱えた家族がたくさんいる。家族内にとどめず、気軽に相談できる社会になってほしいし、なるべきだと思う」と投げかけた。

 別の裁判員は「被害者が亡くなっていて、被害者の意見がなかった」と判断の難しさに言及。「家庭も仕事もすべてうまくいくわけではない。息子に対して、もう少し、高いものを求めないことはできなかったか」と漏らした。(阿部峻介)