[PR]

 登板翌日に残る疲れは東洋大学時代の方が大きかったという。だが、プロ野球では1週間おきに投げる日が約6カ月続く。ドラフト1位で入団し、7勝(6敗)を挙げた上茶谷大河は「年間をフルで戦う難しさ」を感じたシーズンだったと振り返る。どのように来季へつなげるか。

 上茶谷が「疲れに気付かないまま、球が走らなくなっている」と振り返ったのは、夏場の内容だ。自身6連勝と順調に勝ち星を伸ばしていたが、「相手打線にとらえられている」と感じることが多くなった。「長いイニングを投げようとして力をセーブして、逃げる投球にもなって……。その時点で、先発として長いイニングを投げるスタミナがないと思いましたね」

 8月に入り、ぱたりと勝てなくなった。投球フォームにも迷いが生じ、一つの勝負に出た。8月27日。本拠でのヤクルト戦で、金子弌大(ちひろ)(日本ハム)のフォームを形態模写して、試合に臨んだのだ。「そのときは球が悪すぎて、試合前日のブルペンのときから『もう、このフォームで投げた方がいいんじゃないか』というぐらいでした。変化球も決まっていたし」

 勝ち負けはつかなかったものの、今では、少し反省しているという。「やらないですよね、普通。学生気分が抜けていない。他の投手のフォームで勝とうとするなんて甘い」。調子が悪い中で、どう相手打線を抑えるか。考えすぎた結果、分からなくなり、投球フォームごと変えたという。

 もともと他の選手の投球や打撃フォームをまねすることが得意だ。目的は練習で「この選手は、体のどの部分を使って投げているのか」を知るためだった。その後、自分の投げ方と比べ「この筋肉を鍛えた方がいい」と気付くことができた。確かに試合前の練習でも、菅野智之(巨人)や三浦大輔ファーム監督の現役時代のフォームで、壁当てをしている姿を見かける。11月のファン感謝イベントでは、1学年上の先輩・東克樹のまねを披露した。

 このオフは、けがをしないための体作りに重点を置く。フォーム固めはしない。「僕はこの投球フォームでしか投げられない、というのは嫌なんです。ひじの上げ方とか、足の使い方とかを変えたいときに、変えられるようにしたい」。ルーキーイヤーの今年は、「スリークオーターからオーバースローになった」というほど意識が大きくぶれた。持ち前の器用さを「余白」として残しながら、さらなる飛躍をめざす。(井上翔太)

こんなニュースも