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 厚生労働省は16日の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)などで、来年度から実施する、重い障害がある人たちへの就労支援策を示した。仕事を補助する人を置くなどした企業への助成金の拡充と、自治体の生活支援事業などを組み合わせ、「雇用」と「福祉」の施策で一体的に支えることを目指す。要望が強かった「重度訪問介護」の見直しは先送りする。

 重い障害がある人の就労支援をめぐる議論は、7月の参院選で初当選した、れいわ新選組の2人の国会活動をきっかけに加速した。トイレや食事など生活全般を援助する国の福祉サービス「重度訪問介護」は、通勤時や職場・自宅で仕事をする時は利用できないからだ。厚労省は、「個人の経済活動を公費で支援することには賛否があるため」と説明するが、障害がある人にとっては「就労の壁」だとして、見直しを求める声が高まった。

 いまも、障害のある人の仕事を手伝う介助者を外部から手当てした企業に、費用の4分の3(上限は年150万円など)を助成する仕組みがある。通勤の援助者を付けた場合は、1カ月分の交通費などを支給している。いずれも、障害者の法定雇用率(従業員の2・2%)を達成できなかった企業がペナルティーとして払う納付金が財源だ。

 ただ、厚労省はより手厚い支援が必要だとして、16日の労政審の分科会で、重度訪問介護の利用者を雇う企業への助成を拡充する方針を示した。助成割合を引き上げたり、対象期間を延ばしたりすることを想定している。来年から分科会で具体的に検討し、来年度中に導入する考えだ。

 あわせて、自治体が障害者福祉のために行う「地域生活支援事業」の対象に、通勤・就労時の身体的な介護を追加する方向だ。自治体が必要と認めれば、企業への助成金とセットで利用できるようにする。助成金の対象外となる自営業の障害者らには、この事業で対応する。

 厚労省はこの日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)で、重度訪問介護を行っている全国7320事業所への調査結果を発表。このうち2636事業所の集計(速報値)では、重度訪問介護の利用者のうち、すでに働いている人は6・0%、働きたいと考えている人は5・4%だった。厚労省は調査結果も踏まえ、重度訪問介護の見直しについて検討を続ける方針だ。(滝沢卓、久永隆一)