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 沖縄県の石垣市議会(定数22)は16日、まちづくりを進めるため市や議会、市民の役割などを定めた自治基本条例の廃止案について、小差で否決した。自民会派の市議が提案。与党自民と中立会派1人の計10人が賛成、野党会派と中立会派1人、公明1人の計11人が反対だった。

 廃止案は、陸上自衛隊の配備計画をめぐり、住民投票の義務づけを求めて提訴中の市民に対する牽制(けんせい)が狙いとの見方が出ていた。原告の市民らは昨年、署名を集めて住民投票を請求したが、市議会が否決。原告は、住民投票を求める権利が有権者にあると定めた同条例に基づき提訴している。

 廃止案を提案した自民会派の市議は提案理由について、「社会情勢の変化や(首長と議会の)二元代表制の円滑な運用には必ずしも有用な条例ではない」と説明。自民会派は条例が「市民」を「市内に住み、または市内で働き、学び、もしくは活動する人」と広く定義することを問題視していた。野党側は議案の質疑で、住民投票を求める訴訟との関連を指摘したが、与党側は否定した。

 傍聴した「石垣市住民投票を求める会」メンバーの宮良央(みやらなか)さん(29)は取材に対し、「裁判をしているタイミングで廃止論が急に出てきて、市議から圧力や怖さを感じた。否決されてほっとしている」と話した。

 自治基本条例は、地方分権一括法の施行後の2000年代に全国で制定が相次いだ。保守系団体などが「条例は事実上の外国人参政権を認めるもの」などと批判し、廃止を求める運動を展開してきた。

 仲地(なかち)博・沖縄大名誉教授(行政法)は「条例廃止を求める動きは『市議会が決めたことに反対する住民がいるから廃止してしまえ』という意図が見てとれ、議会の見識を疑われても仕方がない」と指摘する。(伊藤和行)