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 アサヒビールはビール系飲料の販売量の公表を来年から取りやめ、売上金額だけで開示する。17日に記者会見した塩沢賢一社長は「シェア(市場占有率)を巡る過当競争の時代は終焉(しゅうえん)すべきだ」と説明するが、2010年から数量ベースでシェア首位を続けてきたアサヒが来年にもキリンビールに抜かれる可能性がささやかれる中での「決断」は業界で波紋を呼んでいる。

 シェアは今年から、大手4社が半期ごとにケース数などで公表する販売量をもとに、報道各社がシェア首位などと報じている。アサヒが売上金額だけの公表にすると、来年からは数量でシェアを計ることはできなくなる。

 ビール各社は国内市場全体が縮小を続ける中、シェア重視で価格競争に陥りがちな「体質」の転換を図ろうとしてきた経緯がある。シェア計算では長らく、酒税がかけられる出荷時の数量を公表してきたが、今年から取りやめた。

 ただ、今回のタイミングには、第3のビールが好調なキリンに抜かれ「首位陥落などと言われるのを懸念したのでは」(大手関係者)との声もある。塩沢社長は「そういうふうには考えていない」と否定し、「利益を重視し、ビールを売っていきたい」と強調した。

 世界では、アサヒの親会社アサヒグループホールディングスが欧州や豪州のビール事業を次々に買収。世界中で高価格帯のビールを売っていく戦略を強化している。(長橋亮文)