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 難病の潰瘍(かいよう)性大腸炎によって大腸がんのリスクが高まる原因を、京都大などのチームが明らかにした。大腸の粘膜で炎症と再生が繰り返され、がん関連遺伝子を含む多くの遺伝子が変異していた。大腸がんの予防や治療につながる可能性がある。研究成果は19日、英科学誌ネイチャー電子版(https://doi.org/10.1038/s41586-019-1856-1別ウインドウで開きます)に掲載された。

 潰瘍性大腸炎は下痢や血便などの症状が出る難病で、原因はわかっていない。患者は国内では約17万人で、欧米など先進国に多い。大腸の炎症が長期間続くことで、大腸がんの発生リスクが15~20%に高まる。

 チームは、潰瘍性大腸炎の患者の大腸から採取した粘膜のくぼみの細胞について、遺伝子にどのような変化が起きているかを詳しく解析した。

 患者の大腸では炎症による細胞死と、新たな細胞分裂による再生が繰り返されており、通常の大腸と比べ、遺伝子の変異が起きる速さは3倍だった。変異の中に、発がんと関連がある遺伝子が含まれていた。

 一方、大腸がんの細胞ではみられない、がん化を抑える変異が起きていることもわかった。患者の大腸の粘膜は、がん化しやすい細胞と、逆に通常よりもがん化しにくい細胞が入り交じった状態だとみられる。

 チームの小川誠司(せいし)・京大教授は「がん化を抑制する遺伝子変異があったことは驚きだ。この遺伝子をターゲットにした薬は、大腸がんの治療や予防に有効かもしれない」と話している。(野中良祐