[PR]

 淑徳中学校・高校(東京)の吹奏楽部顧問だった男性教諭(当時32)が9月に自殺したことを受け、学校が労働基準法に違反していると、男性の遺族や同僚の教員が池袋労働基準監督署に申告した。残業に必要な労使協定(36協定)を学校が結ばず、残業代も払っていないとして改善命令などを求めている。

 遺族や代理人の弁護士が19日、記者会見した。男性の自殺は長時間労働などが原因とみられ、準備が整えば労災認定も申請するという。

 代理人らによると、男性は2018年4月、契約期間1年の物理教員として就職。吹奏楽部の顧問になり、行事の準備、父母会との調整などに忙殺された。顧問の1人でもある副校長に負荷の軽減も訴えたが、改善されなかった。

 同校にはタイムカードなどによる時間管理もなかったため、男性は19年4月から自宅のパソコンに自ら労働時間を記録。記録によると、残業は「過労死ライン」とされる月平均約80時間に及ぶことが多く、16日間連続の勤務もあった。

 男性は文化祭での副校長とのトラブルをきっかけに9月15日から休暇を取得。同18日に自宅前で自殺を図り、4日後に死亡した。男性の雇用契約には残業代の規定がなく、残業代は全く払われていなかった。

 男性が残した遺書には「月250時間働いても手取り30万程度の働きしかできない無能な私です」「時代錯誤なこの国の教育業界が少しでもましになることを祈っています」などと記されていたという。

 会見した遺族代理人の川人博弁護士は、労災申請の前に労基署に申告した理由について「これほど大規模の職場で36協定がないというのは聞いたことがない。違法状態は放置できない。速やかに是正を求めるためだ」と説明した。

 学校を運営する大乗淑徳学園(東京)の担当者は「教職員が亡くなったのは残念だった。今の段階で、その他のことはコメントを控えたい」と話した。(志村亮)