政府が20日に閣議決定した2020年度の一般会計当初予算案は、総額が102兆6580億円と過去最高額になった。100兆円の大台を超えるのは2年連続で、19年度当初より約1兆2千億円増えた。財政健全化をめざすためだったはずの10月の消費増税を終えたあと、政府の財政はむしろたがが緩んだようにずるずると膨らんでいる。
20年度予算案には総額だけでなく、「過去最高額」がずらりとならんだ。
まず、税収だ。税率を10%に引き上げた消費税が通年分の収入として加わり、63兆5130億円を見込む。ただ、国内総生産(GDP)の伸びが、「民間予想より甘い」とされる実質1・4%を前提とした増収も織り込んでいる。
増えた税収を吸い込んだのが、歳出全体の3分の1を占める社会保障費だ。総額は35兆8608億円で、19年度から一気に5・1%も伸びて過去最高を塗りかえた。幼児教育・保育の無償化や大学など高等教育の負担減への出費が主な要因。安倍晋三首相が17年に消費増税分の使い道を変えて導入した肝いりの政策だ。
予定していた部分もある社会保障費の増加に対し、ほかの予算で切り込んで「メリハリ」を利かせた様子は乏しい。防衛費も6年連続で過去最高となり、5兆3133億円に達した。
そもそも、今月5日には総事業費26兆円と第2次安倍政権下で有数の規模の経済対策を決めたばかり。当初予算案がまとまる1週間前には、4兆4722億円を追加で支出する19年度の補正予算案も閣議決定した。経済対策は当初予算案にも「臨時・特別の措置」として1兆7788億円が盛り込まれたが、補正予算に回して当初予算の出費を小さく見せかけた部分もある。今月決まった政府の歳出は実は102兆円にはとどまらない。
20日公表された政府の月例…