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 秋田市で2010年、弁護士の津谷裕貴さん(当時55)が刺殺された事件をめぐり、遺族が秋田県警の対応に不手際があったと訴えた民事裁判で、最高裁第一小法廷(小池裕裁判長)が19日付の決定で、県の上告を棄却した。「現場に駆けつけた警察官が適切に対応していれば殺害されずにすんだ」と認め、県と加害者の男に計1億6480万円の賠償を遺族に支払うよう命じた二審・仙台高裁秋田支部判決が確定した。

 二審判決によると、10年11月、津谷さん宅に銃を持った男が侵入。通報を受けて駆けつけた警察官2人は、男から銃を奪い取った津谷さんを侵入者だと思って取り押さえた。間違いに気づいて放したが、男はその間に用意していた刃物を取りに行き、津谷さんを刺して殺害した。

 一審の秋田地裁は「津谷さんを侵入者と誤認したのは不合理ではない」として遺族の訴えを認めず、男だけに賠償を命じた。一方、二審は男が侵入者と分かった時点で「警察官は男を制圧できた」と指摘した。

 さらに、制圧ができなくても、男が刃物を取りに行く間に津谷さんをパトカーなどに避難させていれば、「殺害されなかったことは確実だ」と認定。「失態を重ねて最悪の事態を招いており、国家賠償法上の違法な公権力の行使にあたる」として、県に男と連帯しての賠償を命じた。

 秋田県警の鈴木達也本部長は「ご遺族の心情をお察しし、亡くなられた方のご冥福を心よりお祈り申し上げる。最高裁の決定を踏まえて適切に対応する」とのコメントを出した。(北沢拓也)