拡大する写真・図版半年前に住み始めたばかりの自宅が被害にあった、シャバーノ・ストラップさん。仕事のない日に少しずつ片付けてきた。「全てが吹き飛ばされ、家族は首都のナッソーに避難している。厳しい状況だけれど、できるだけ早く家族と一緒に暮らしたい」。今一番必要な援助は建築用の資材だという=2019年12月6日、バハマ・アバコ島、福留庸友撮影

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 3カ月以上たっても、災害の爪痕はくっきりと残っていた。「数十年に一度」が頻発するのは日本だけではない。

 カリブ海のリゾート国、バハマ。首都ナッソーから北へ飛行機で40分のアバコ島。道の両脇に折れ曲がった木が何キロも続き、繁華街のレストランや商店は壊れたままだった。

 ハリケーンは珍しくない地域だが、9月の「ドリアン」はいつもと違った。上陸時の最大風速毎秒82メートル、中心気圧910ヘクトパスカル。勢力は最強のカテゴリー5だ。海辺に住むギャリー・スミスさん(70)は税関を退職した15年前に高床式の家を建てた。「ほかのやつらが避難しても、俺はしたことがない」が自慢だった。だが今回は、6メートル以上という高潮にのまれ、柱と階段だけが残った。

 そこから内陸に約8キロ。野ざらしの浴室の壁を両手でひきちぎるとパラパラと白い粉が舞う。シャバーノ・ストラップさん(27)は「まだ半年しか住んでないのに」と嘆いた。屋根と外壁は強風に巻き上げられ、どこかに消えた。この一帯はそんな家ばかりだった。

 長年、島で暮らす父ショーンさん(52)は「地球温暖化が進んでいるからだ。これまでこんな被害はなかったんだから」と言った。港近くで家を片付けていた男性は「日本には今年、二つも来たね」と知っていた。

 9月に強い台風15号が上陸した千葉県。房総半島の南端に近い海沿いの館山市布良(めら)地区は、年の瀬のいまもブルーシートがかかった屋根が目立つ。2階がなくなった家もある。勢見伸郎さん(71)は瓦が吹き飛び、天井の一部が抜け落ちた家で新年を迎える。もともと風は強いというが、ここまでの被害はなかった。

拡大する写真・図版台風15号で、当時寝ていた2階の屋根が吹き飛ばされた小谷登志江さん。今は親戚の空き家を借りて住んでいるが、平屋建てにリフォームし、自宅に戻ることを決めた。「いろいろ考えたけれど、この年になって他の場所で暮らすのは大変。布良っ子なんだねぇ。愛着は土地にあるのか家にあるのかわかんないんだけど」。まだガラスのない窓を強風が吹き抜けた=2019年12月13日、千葉県館山市、福留庸友撮影

 「海があったけえから、あの時期でも大きな台風がここまで来たんじゃねえか」。昔いた魚をみなくなり、とれる数も減った。海のそばで長年暮らしてきたからこそわかる。「学者じゃねえからうまく説明できないが、『何か変だ』っていうのはみんなある」

 10月の台風19号が追い打ちをかけた。首都圏の鉄道は計画運休し、横浜などでラグビー・ワールドカップの試合が中止に。海外メディアは国際名で呼び、「カテゴリー5級のハギビスが東京に接近」と報じた。

 今年の日本の平均気温は過去最高を更新する見通しだ。日々の暮らしで感じる「おかしい」が、地球のあちこちで共有されている。だれがいつ被害にあっても不思議じゃない。(戸田政考)

気候が変なのは日本だけではありません。北極圏に位置するグリーンランドでも異常気象が起きています。記者が現場を訪ねました。

 世界中が気候危機を実感してい…

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