リレー「金」へ温存あり? 陸連案にサニブラウン反発
東京五輪では、陸上男子100メートル、200メートルのダブル出場は原則ダメ――。日本陸連が打ち出した代表選考方針が議論を呼んでいる。男子400メートルリレーで金メダルを狙うため、どちらか1種目に制限して体力を温存させる戦略だが、両種目での出場をめざすサニブラウン・ハキーム(米フロリダ大)ら、選手からは反発の声があがる。
個人とリレーの両立は、2016年リオデジャネイロ五輪までは特に議論にならなかった。08年北京五輪でリレー種目初のメダルに輝いた朝原宣治さんは「我々の頃も個人でしっかり戦った後のリレーという考えだった。でも私は100メートルしか出場しなかったし、決勝進出なんて想定していなかった」と話す。
今回の異例の選考要項案は、日本短距離陣のレベルが上がったからこそ、と言える。
サニブラウンらには100、200メートルの両種目で決勝に進める可能性がある。さらに、400メートルリレーは08年北京五輪で銀メダル(銅メダルから繰り上がり)を獲得して以降、16リオ五輪で銀、17年ロンドン世界選手権と今年のドーハ世界選手権で銅メダルと好成績が続く。東京での金メダルもまったくの夢物語ではない。
実際に過去の世界大会では、100、200メートルに出場した選手がリレーまで余力が残らないケースがあった。15年の北京世界選手権では100、200メートルに出場した高瀬慧(富士通)がけがでリレーに出場できなかった。今年のドーハ世界選手権でサニブラウンは身体的負担を考え、200メートルの出場を回避した。
東京五輪の陸上短距離日程は過密になっている。100、200メートルともに決勝まで残ると、400メートルリレー予選までに、5日間で6レースを走らなければならない。
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