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 東京五輪・パラリンピックに向けて岩手県山田町は「おらんだ料理スタンプラリー」を始めた。町内6店舗がオランダにまつわる料理を出し、客は食べるともらえるスタンプの個数に応じ、抽選で景品が当たる。町は湾内に浮かぶ「オランダ島」で知られ、同国の復興「ありがとう」ホストタウンになった。オランダとの縁を県内外の人に発信する狙いがある。31日まで。

 6店舗は和海味処いっぷく、グルメハウスシンコー、魚河岸、竹松や、三陸味処三五十(みごと)、道の駅やまだフードショップ。オランダの定番料理を地元の魚介類を使いながらアレンジ。グラタンのような「ビスパネチェ」やコロッケ風の肉料理「ビターバレン」、スイーツを提供する店もある。

 各店で台紙をもらい、スタンプ一つで参加賞として町特産の「山田の醬油(しょうゆ)」が贈呈される。二つないし六つ集めて応募すると、町の特産品が抽選で当たる。

 五輪・パラリンピックのホストタウンは全国で378件(昨年12月時点)登録されているが、これとは別に東日本大震災で支援を受けた国との交流を図る復興「ありがとう」ホストタウンもあり、県内では山田町など11件(同11月時点)の登録がある。山田湾にはオランダ船と交流した史実から名付けられた「オランダ島」があるほか、今年は同国ザイスト市と友好都市になって20周年でもある。

復活アカモク佃煮も

 山田町川向町にある三陸味処三五十(みごと)は「オラほのビスパネチェ」(850円税別)を提供する。

 ビスパネチェとはグラタンのようなオランダの料理だ。シイタケ、サケ、オキアミ、アカモクの佃煮(つくだに)といった山田の特産品をふんだんに使用。大小のジャガイモは、江戸時代にオランダ人が漂着したオランダ島と呼ばれる大島と、すぐ近くにある小島を表している。

 店長の大杉宗丈さん(46)はビスパネチェに特別な思いがある。2011年3月11日、その頃店長だった父のもとでアカモクの佃煮を試作し、商品化に向けて宮古市での発表会を5日後に控えていた。店は準備していた試作品とともに津波で流された。

 店は新装開店して3年余りだった。父は落ち込んだ。それでも大杉さんは残してあった数少ない試作品をベースに、その年のうちに県のコンクールに応募。最優秀賞に選ばれた。商品化にこぎつけ、都内でも販売。店舗は仮設で5年間営業し、一昨年の夏、元の場所で再開した。大杉さんは「私たちにとってアカモクの佃煮は復活の象徴。ほかにはない食材なので、広まってほしい」と願う。(大西英正)