拡大する写真・図版仕込みタンクの前で語り合う田崎真也さん(左)と永山貴博さん=2019年12月3日午前、山口県宇部市、吉本美奈子撮影

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 日本酒がいま、新しい時代を迎えています。個性が花開く舞台は世界。出荷量はピーク時の3分の1に減りましたが、輸出は9年続けて増えています。「フォアグラやキャビアは圧倒的に日本酒の方が相性がいい」と指摘するのは、ソムリエの田崎真也さん(61)。「貴」(山口県)で知られる若手杜氏(とうじ)、永山貴博さん(44)と、田崎さんの2人が見据える「SAKE」の未来とは。

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 対談は、永山さんが経営する「永山本家酒造場」(山口県宇部市)で行われた。山口市の創作フレンチ「やまぐちBISTRO328(みつわ)」の三和(みつわ)慎吾シェフ(32)が、地場食材にこだわった料理を提供した。

 ウニのフラン▽ワタリガニのあんかけ▽むつみ豚と岩国レンコン▽ミル貝のジュレ▽サワラの塩こうじ焼き▽クルマエビのフライ▽放牧牛の香り焼き▽お造り▽ちらしずし――。

 永山さんが醸した4種類の日本酒との組み合わせを試しながら語り合った。

拡大する写真・図版山口県の食材を使ったお弁当=2019年12月3日午後、山口県宇部市、吉本美奈子撮影

日本酒が「ソース」に

 田崎 食事と合わせる日本酒が、いま世界で注目され始めています。例えば、このウニのフラン。ワインと合わせるのは難しいんですけど、日本酒となら卵とウニが調和したところに、クリーミーな風味を持ったお酒が口の中で広がっていく印象を感じます。ペアリング(料理と酒の組み合わせ)の発想は、日本酒を飲むことで、口の中で新たなソースが合わさるようなイメージですね。隣にあるエビフライは、タルタルソースをかけた方がお酒と合いますね。

たさき・しんや 1958年生まれ。日本ソムリエ協会長。95年、日本人初のソムリエ世界一に。2017年、日本酒の知識や技量向上をめざす認定制度「酒ディプロマ」を始める。

 永山 この「男山・西都の雫(しずく)」は山口県独自の酒米「西都の雫」を使っています。

ながやま・たかひろ 1975年生まれ。永山本家酒造場(山口県宇部市)の社長兼杜氏。代表銘柄は「貴」。若手醸造家が蔵を越えて技術向上をめざす「青年醸友会」を立ち上げた。

 田崎 いま東京のいいお酒を置いている居酒屋で山口のお酒がないところはないですよ。山口のお酒って平均レベルが非常に高いと思います。この酒は香りが穏やか。穏やかな日本酒って、炊いたお米の香りと、大福のまわりについている上新粉のような香り、乳酸由来の香りが基本にある。生クリームとかミルクみたいな香り。だからクリームやバターを使ったソースにすごく合わせやすいんですよ。

拡大する写真・図版乾杯する田崎真也さん(右)と永山貴博さん=2019年12月3日午後、山口県宇部市、吉本美奈子撮影

 永山 昔と比べて、ペアリングに意識を持つ方が増えてきたと思いますね。

 田崎 上質な日本酒がヨーロッパに輸出されるようになり、食中酒としての面白みが理解されるようになった。ワインとは全く違う味わいと香りなので、それまで相性が難しいと考えられていた料理にも、最近は「日本酒と相性がいい」と言われるようになってきました。

 ペアリングの検証もなされています。例えばフォアグラやキャビアは圧倒的に日本酒の方が相性がいい。卵料理や生野菜とワインの相性はすごく難しいけど、日本酒なら合わせやすい。カキも欧米では昔から食べられていますけど、日本酒の方が圧倒的に相性がいいですからね。

 永山 日本酒が海外の市場に入り込んでいく余地、可能性はありますか。

 田崎 日本酒って甘み、うまみ…

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