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 ソウル五輪開幕まで4カ月を切った1988年5月28日、中京大豊田キャンパス(愛知県豊田市)の陸上競技場。男子短距離の同大3年の青戸慎司は、緊張しながらスタートの号砲を待った。「いつも練習している場所なのに、追い込まれた気持ちになっている」と感じていた。

 正式記録として公認される中京大「土曜記録会」で、100メートルにエントリー。五輪の参加標準記録10秒2(手動計時)をまだ達成しておらず、これを突破しないと五輪選考には残れない。瀬戸際だった。

 体調万全で臨むため、2週間前からはり治療やマッサージを受けた。ほかの大きな大会直前と同様、練習では走りすぎないようにしていた。

 弱い風が競技場に吹く。追い風…

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