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 「1型糖尿病」の患者団体が、治療法などの研究費の助成を「循環」させようとしている。研究成果による特許収入などが生まれれば助成額を上限に還元してもらい、次の助成に使う。根治をめざし、「投資」戦略を練ったという。

 1型糖尿病は、血糖を調節するインスリンが膵臓(すいぞう)から分泌されなくなる病気。1日に何度もインスリンの注射をする必要があり、国内に10万~14万人の患者がいるとされる。

 循環型の助成を始めたのは、NPO法人「日本IDDMネットワーク」(佐賀市、井上龍夫理事長)。1995年の阪神・淡路大震災で患者らがインスリンの入手に苦労したことをきっかけに発足した「全国IDDM連絡協議会」を前身に、2000年にできた。

 循環型の助成制度を考案した岩永幸三副理事長は「支援した研究が事業化できて利益が出るなら、その利益を若い研究者の支援に使い、次の新しい研究につなげたいと思った」という。これまで、体細胞からインスリン分泌細胞を直接つくる研究(順天堂大、17年度に1千万円)、ゲノム編集技術を使って1型糖尿病を発症するモデルブタの開発(徳島大、18年度から5年間計1千万円)、インスリンを使わない治療法の開発(名古屋大、19年度から5年間計1千万円)の3件に適用した。結果として利益が出なくても、返還は求めない。

 同ネットワークは08年度から研究費の助成を始めた。循環型の3件を含め、今年1月7日時点で計66件3億5千万円。岩永副理事長は「患者と研究者が一緒になって根治という夢を実現していきたい」と話している。(木村俊介)