拡大する写真・図版そろばん教室に通う奥田梨智さん(右)。母の江利香さんが迎えにきた=2019年12月19日午後、南三陸町、小玉重隆撮影

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 東日本大震災4カ月後の2011年7月12日、宮城県登米市の病院で女の子が生まれた。その年の3月5日に結婚した奥田江利香さん(36)、4歳年下の智史(さとし)さんが、ママとパパだ。

 梨智(りさと)、と名付けられた。

 目がくりっとして、誰が見ても父親似。言葉をまだ覚えないうちから、江利香さんは梨智ちゃんを抱っこしては、部屋の写真の前で言い聞かせた。

 「これがパパだよ」

     ◇

 3歳になった梨智ちゃんが、聞いてきた。

 「パパはなんで写真の中ばっかりにいるの?」

 江利香さんは一生懸命、説明した。「大きい地震があってね。大きい海の波が来て。パパはお空の上に連れて行かれたんだよ」

 どれだけ理解できたかはわからない。

拡大する写真・図版震災の1年後。奥田江利香さん(左)と、つかまり立ちを始めた梨智ちゃん=2012年3月、三浦英之撮影

 小さなことで叱ると、梨智ちゃんは「ママに怒られたあ」と、智史さんの遺影に言いつけに行く。寝る前に、独りの部屋で「おやすみ」と声に出し、布団をかぶる。尋ねると「パパがそこにいる」と答えた。

 4歳のころ、保育園から「ほかの子と一緒にパパの絵を描かせていいですか」と、電話が来た。父親がいないからって、気をつかわないでほしいのに……。

 梨智ちゃんは、写真とよく似た智史さんの顔をクレヨンで描いた。

拡大する写真・図版奥田梨智さんが描いたパパ=2019年12月19日午後、南三陸町、小玉重隆撮影

 5歳になったある晩。いつものように二人でパパの話をしていると、突然、梨智ちゃんが泣き出した。

 「パパに会いたか…

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